有限会社メディアモービル

株式会社OSBS
2023年3月9日

広島に本社を置く有限会社メディアモービルの業態は大きく分けて電気通信事業と不動産事業の2つだ。

ご存知のとおり、山陰エリアの中山間地域には光回線ケーブルが行き渡っておらず、同軸ケーブルでテレビもインターネットも繋げているので回線速度は遅く、安定性に欠けるといった問題がある。現在山陰エリアでは光化切替工事を進めており、同社は山陰のICV(出雲ケーブルビジョン株式会社)との業務実績があったことで現在山陰エリアで業務拡大中だ。戸建てのアンテナ設置や携帯電話の基地局設置といった電気通信インフラに関わる幅広い事業を進める一方、不動産業にも力を入れている。

今回話を伺った吉見恭一さん(麗和レジデンス・店長)は不動産事業部に身を置きながら石見ケーブルの営業も担当している。現在に至るまで石見ケーブル母体の今井産業からも 「ぜひ江津に力を貸して欲しい」とラブコールを受けてきた。吉見さんは石見ケーブルのテレビやネット契約の営業も兼務するマルチタスクワーカーだ。さらには江津市がここ数年特に力を入れている有福温泉の再生プロジェクトにも深く関わっているというから業務範囲は実に幅広い。

「『地域貢献は社会貢献』をモットーに、かつての樋口旅館を『アウルリゾート有福温泉』として全面改装し、有福温泉の再生プロジェクトにも大きく関わっています。もっとも弊社は旅館業を専門にしているわけではなく、あくまで不動産業者として建造物の部分を請負い、運営は外部委託しています。

アウルリゾート有福温泉の賃貸管理も必要であることから、旧小川屋旅館別館(元湯町サロン)の改修工事も同時に行い、有福温泉町にも事業拠点をつくりました。この再生プロジェクトで弊社になにができるかと言えばやはり光化推進事業です。町内のテレビやインターネットの設備強化ですね。

▲江津市が全面協力の元、進む有福温泉街の再生事業。広島からの新規事業者も多い。

 

「私は広島の呉市出身です。江津に在住はしていませんが今や週の半分は江津にいますね。片道1時間半かけて毎日広島と往復しています。(笑)業務としては旅館管理だけではなく、プロジェクトのコンセプトが“まるごと温泉ホテル”なので有福温泉再生全体に関わっていると思っています。有福温泉振興会にも加入していますし、地域イベントへの協賛や行事ごとにも出席しています。どんなお誘いごともうちの会社は断ったことはないですね。

 

有福温泉再生プロジェクトに関わるきっかけは江津市だった。現場に入って地域の様々な人たちと触れ合い、過疎化していく温泉街が日本全国にたくさんあることを知った。そして有福の10年先を見越していく計画を共有していく中で、この場所が本当に再生できたらロールモデルになるのではないか、と考えるようになり急速にプロジェクトに魅了されていった。話は有福再生にかける思いと今感じている課題へと続く。

「泊食分離と言っていますが、有福温泉は観光の場所でありながら居住者もいる町です。観光を強化する前に景観のこと、騒音のこと、安全性のことなど住民の方々の日々の暮らしが前提にあります。中には静かに暮らしたいと思っている方だっています。

賑やかにするだけを考えるのではなく、いかに共存させることができるかを考えなければいけない。当たり前ですがお祭りワッショイワッショイだけやるわけにはいきません。居住者のみなさんの理解が本当に必要ですし、予算を注ぎ込んで発展させればいいという単純な話ではありません。居住区の中にある温泉街という個性あるエリアですのでそこから考えていかなくてはならないと思っています。」

▲2022年6月に開催されたイースター祭り。神楽公演や出店など夕暮れから多くの人で賑わった。

 

様々な課題がある中でも吉見さん曰く、江津市は事業者と住民の間に入って丁寧に取り組んでくれているという。住民を交えた大きな集会では新しいことをやる前に河川の氾濫を防ぐことの重要性を説く人もいれば、足りているとは言えない駐車場について問題視する人もいる。IT化されていくことで少しづつ業務環境が変わっていく旅館業者の中にはデジタルツールでの運用管理のやり方がわからない人もおり、細かい対応を求められる場面は少なくない。それでも丁寧に対応していく江津市の職人の方々には頭が下がる思いだという。営業や仲介業を得意とする吉見さんらしいコメントだ。

「人の仲介ってとても大変なんです。ちょっとした言葉のかけ違いでズレが生じることもあります。不動産にしても、地域に入っていって人と人の間を取り持つということは難しいこともあります。さまざまな人間関係がありますからね。

江津市さんと一緒に取り組むことは多いですし、今年度はもちろん、次年度についてもすでに動いてくれています。単純に凄いなと思いますし、とても感謝させていただいています。」

▲有福温泉再生プロジェクトに関するミーティングにも担当者として関わっている。〈写真提供:(有)メディアモービル〉

有福温泉再生をモデルにすることに大きなモチベーションを感じていることが伝わる吉見さん。 本オフィスには工事事業者の方々も使用する機会があり、今後同社が事業を継続していくにあたり、より一層このオフィスを有効活用していきたいそうだ。

写真・文
写真・文

戸田 耕一郎

本サテライトオフィス取材の他、江津の「人」にフォーカスしたシティプロモーションサイト『GOGOTSU.JP』の運営管理、有福温泉の再生模様を追い続ける『リブート!有福!』を担当。ハートフルな江津市職員のみなさんとともに「江津の今」を伝えるべく、カメラとドローンは常時スタンバイ!

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