株式会社OSBSは「Out Sourcing Business Service」(以下、OSBS)の頭文字をとった社名だ。親
これまでシェアードサービス事業では障がいのある方を採用し、勤
「苔の単体販売はもちろん、苔玉やテラリウムといったインテリア商品の開発も考えています。苔商品のマーケットはニッチかも知れませんが、テラリウムのワークショップを都市部で開催したところ、大きな反響があったので一定の需要はあるのだろうと考えています。
山合いの寒暖差がある場所は霧が多く、適度な湿気もあるので、そういう場所にはよい苔があります。それが江津の苔の良さですね。江の川の存在も大きいのかも知れません。」
▲オフィスでも栽培作業を行っている。商品化へ向けた試作品も多く並ぶ。
江津の農林水産課は農産物の六次産業化に取り組んでいる。江津の苔の市場価値をつくることも業務のひとつだ。苔商品を作り事業化したい会社と、苔を使って事業をつくって欲しい江津市とのよい関係性が構築されていく。
OSBSは苔事業を立ち上げるにあたり、市内にいる専門家を紹介してもらったり、農地探しの協力を得るなど多岐に渡って手厚いサポートを受けたという。「どんなことでもすぐに動いてくれるので、最近頼りすぎていますね(笑)。」と野津さんは大きな声で笑う。こういった地域内交流がすぐに生まれる環境は江津の特徴だ。
「江津市さんは苔の栽培についてはもちろん、生産者の会へ誘ってくださったり、県内・県外の苔事業者さんのところへの研修をセッティングしてくれたりと常に様々な橋渡しをしてくださるのでとてもありがたいです。
これから苔ブランディングというか、江津の苔に付加価値を付けることができればそれは追い風になるので、きちんと作っていきたいという思いがあります。」
江津ファームは在宅3日、出勤2日くらいのバランスで業務を行っている。曰く「制限をかけないワークスタイルを意識しているから」だという。OSBSには『社会的価値の創出』『従業員自らが成長していくこと』というの企業理念がある。
日本社会では障がいを持つ人に対して「かわいそう」とか「こういう環境を用意しておげよう」というようなある種の囲い込みがあると野津さんは感じているという。OSBSでは障がいの等級によって全員一緒くたにはできないが、特別な見方をせずにその人が何ができるのかということを第一に考える。知的障がいがある人でも事務作業ができる人もいる。個人の持つ可能性をできるだけ広げていくことを大切にする。江津で苔事業をスタートさせることで障がいがある人でも活躍できるフィールドができるはずだと野津さんは自信を見せる。
日々の移動も考え、雇用は江津を中心に浜田までの範囲で考える。企業説明会でプレゼンテーションしたところ、多くの方が聞きに来てくれた。今後はハローワークを中心に求人情報を出していくとのことだ。
▲湿度管理が何よりも重要だ。〈写真提供:(株)OSBS〉
江津にある「苔」という地域資源。秋に苔の植え付けが始まり、10ヶ月ほど育てていく。水やり(湿度管理)や草抜き程度でそこまで多くは手がかからない。苔ができたら翌年分の種苔だけ残し、他の苔はすべて商品用に手を加えていく。苔事業は江津を中心にしていきたいとの考えがある。手が余ったら他にも地域資源を探し、協業できる分野の人たちと特産品を作りたい、と新規事業へのアイデアや興味は尽きないようだ。
▲社員同士の仲の良い雰囲気が伝わってくる。サテライトオフィスの共有スペースにて。
「釣りが好きなので江津はいいですね。江の川を見るたびにシーバスいそうだななんて思っています。スピア(海中に潜って魚を突く方法)や、山で狩猟をするのが好きなスタッフもいます。人材派遣業とは違って苔事業を始めてからじっくり 腰を据えて誰かと話ができたりと今の自分にいい刺激があります。
会社本体は人材派遣業の他、教育事業やe-スポーツ事業なども行っていますし、軽井沢では英国王室ブランドの販売許可を保有したワインや紅茶、雑貨の販売も行っています。
社長が既成概念に捉われないでトライアル&エラーで色んなことをやっていこうと言ってくれるので新規事業が次々とはじまっていく面白い会社なんです。
苔事業部にいるスタッフは面接で趣味がそば打ちですと言ったら社長がそこに食いついちゃって、そば打ち事業に積極的になっちゃってちょっと心配なんですけど。(笑)」
戸田 耕一郎
本サテライトオフィス取材の他、江津の「人」にフォーカスしたシティプロモーションサイト『GOGOTSU.JP』の運営管理、有福温泉の再生模様を追い続ける『リブート!有福!』を担当。ハートフルな江津市職員のみなさんとともに「江津の今」を伝えるべく、カメラとドローンは常時スタンバイ!